屋根上の状況が目視できると非常に心に安心感を与える事ができる。下記に示すのは、本研究室が提案している屋根上の総合監視システムを用いた屋根上雪下ろしの支援状況だよ。高層ビル用の窓ガラス清掃用のグラスファイバーポールの先にステレオカメラを取り付けて屋根上の状況を撮影している。研究として屋根上の奥行距離を評価するためにステレオカメラを取り付けたが、安価なベビーモニターを用いても屋根上の積雪状況は容易に評価が可能で、なお、選定した高所作業用ポールは米国1社からのみ市場供給されている状況であり、個人で海外から入手する必要がある。ポールの下端に紐を取り付け、ポールを上下移動させ、紐の移動量を測定することがで、屋根上の積雪高さを簡易に評価することができる。
研究室には5m、7mの高所作業用ポールがあるが、見栄えの良い撮影を目的に3.5mまでポールを縮めた状態で撮影を実施した。6.5m高さの屋根雪の状況が確認できる。当然であるが屋根雪は無く、雪下ろしの必要がない。屋根の上に登らずに安全に屋根上状況を観察することができた。元々高所作業用に開発されたポールを転用したため、取り回しが簡単で、実際には片手でも安全に作業が行えた。
こんな装置見たことないけど、誰でも思いつくでしょ。そうです、そうです、誰でも思いつくけど、誰もやっていないので、やってみたという感じだよ。高いところは危ないので登らずに屋根上をもっと、鳥の様に俯瞰的(ふかんてき)に全体を見ることが可能になったよ。これって単純に凄くない?!
実はこの誰でも思いつく装置のおかげで高齢者屋根上除雪問題が解決できる糸口が見つかったりしている。将来的に誰も屋根上に登らずに消雪・融雪する時代が到来しそうだよ。
庭の散水消雪・融雪について検討を行っている。画像認識に関するDeepLearning によって学習された分類器がオープンソースとして共有利用されている。ここでは、ImageNet Large-scale Visual Recognition Challenge 2014: ILSVRC2014で優勝したAI画像認識モデルを利用して水流を認識できるか試してみた。開発者たちが水流を認識するように深層学習したかは不明であるが、とりあえず、ILSVRC2014モデルを対象動画に適用してみた。
もともと水流の認識は、深層学習のアルゴリズム的にも認識が難しいと考えられている。例えば、水流は、特徴的な点が多かったり、形に再現性が無い、カオスな画像となるため、深層学習で認識することは難しそう。実際、下記に示す様に、画素数が荒いと遠い場所に位置する木を人間に、近い場所のArUcoマーカーを椅子に認識しています。肝心の水流については傘として認識しているようです。
深層学習モデルでは水流の認識が難しいということが予め分かっていたので、異常検知技術を用いた水流を認識するAIを作成した。AIアルゴリズムには、ステレオカメラ技法、ArUcoマーカーによる相対位置特定、差分画像の生成、モルフォロジー演算によるノイズ除去などを総和した技術を使用して、なんとなく水流の落下地点がわかったよ。
昔から融雪による膨大な地下水資源の枯渇化と、それに伴う海岸部周辺の地盤沈下による道路および上下水道などのインフラの破壊が指摘されている。
近年、日本地下水開発より、家庭用無散水消雪システム「ジョザネ」が提案されている。この製品は、地下水を地下から地上直下までくみ上げ、地下直下に敷設されたパイプ内を循環させることで、水資源を使用せず、その熱のみを取り出し消雪する画期的な方法を提案している。非常に優れたアィデアであり、今後新規に建築される個人宅の融雪システムは無散水消雪型のシステムにしてもらいたいと思った。これら、先行している無散水消雪システムと兼用して後期高齢者地域の除雪支援に関わる融雪・消雪を研究したい。
本研究室では富山の融雪仕様を計測している。富山県内の融雪に用いられる消雪ユニットは4つ穴で、1つの穴から24~60リットル/分の地下水が吐出されていた。2020年12月~2021年2月までの融雪時間は8~16時間であり、1家庭における1カ月に利用する水道量と同等の地下水が融雪装置1ユニットの1つの穴から吐出されていた。これは、過小評価であり、過大評価であれば、1つの穴から7カ月分の地下水が吐出されていた。1ユニットからは、1年の使用量以上の地下水が吐出されたことになる。富山県内には、この融雪ユニットが数キロにわたって敷設されている。無散水消雪システムはSDGsの観点からも望まれる設備であり、富山県外の地下水制限のある地域にとっては、朗報であると思われる。
また、北越融雪株式会社からは、路面および屋根融雪の、ガス、電気(ヒートポンプ)、灯油、バイオマスを用いた各種融雪設備のサービスが提供されている。こちらも無散水消雪システムとなっており、温水をパイプ内に循環させることで、極短時間に融雪を行う画期的なアイディアで、既に実用実績が多い安定した融雪技術となっている。
また、弘前のヒロデン株式会社からも、路面および屋根融雪の、ガス、電気(ヒートポンプ)、灯油を用いた各種融雪設備のサービスが提供されている。この会社では、地中熱を利用した融雪システムのサービスも提供している。地中熱を利用した発電など地熱エネルギーを用いた社会インフラの整備が少しずつではあるが、広がっており、その良い適用例の1つと考えられる。
上述の様に無散水融雪システムは既に実用化されている。先行例との比較を行うと、本研究では再生エネルギーを利用していること。バイオマス融雪利用では、「融雪設備の効率的な再生可能エネルギー活用に関する研究」や、「木質バイオマスを利用した無散水融雪設備」、「小規模な木質バイオマス発電の推進について」などが検討されている。本研究はこれら先行研究の結果を参考に、搬送可能な小型ボイラ・融雪システムを構築し、AI融雪機械によってどのような形状でも融雪対応が可能で、敷設・撤去費用が掛からない安価な個人向けの駐車場、家の前の道路、庭、屋根上雪を対象とした融雪システムの構築を目指している。
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