種から育成するノウハウを収集しています。

 苗からネギを育成する方法は、ほぼ確立できました。至って簡単で、購入した苗をプランターに植えて、外に置き太陽光を浴びさせる。1カ月に1度ぐらい土を盛る。です。太陽光を当てないと、何故か枯れてしまったり、ガラス窓を通した太陽光では駄目で、直射日光でなければいけない。と、いうことを最近気が付きました。

 現在種からの苗の育成を行っていますがこれが難しい。苗まで生育するのに半年かかりました。ポイントは、発芽するまで水を与える。発芽後は水を極力与えない。設置場所は直射日光を当てることができる場所です。直射日光を当てないと、ネギは成長が止まる様です。ガラスやビニール温室など、フィルターがかかるようでは成長が止まり、根腐れで枯れてしまいます。

 直射日光で土の細菌が変化したのか?ネギに作用したのか?どちらか分かりませんが、とにかく、直射日光を当てる必要があります。

 

 2023年4月7日撮影した種から栽培されたネギの写真を下に示します。ある程度大きくなってから越冬して春にネギ坊主ができましたが切り取ってあります。雪に埋もれ枯れるものと思っていましたが、外に放置しておいても良き伸びました。

 

 種から苗にする方法はいまだに難しくなかなかうまく行きませんが、種から成長させることに成功しました。 種から苗に生育する方法について今後検討したいと思います。

種から栽培されて大きくなったデジタルねぎ
種から栽培されて大きくなったデジタルねぎ

AI・DX・DS仮想ネギ栽培に関する研究

1本1700円で完売できるネギが存在するなら。

 2011年頃より、高齢者の自給自足支援に関する研究を実施してきた。いろいろな野菜を実験農場で栽培してきたが、書籍通りの方法では、うまくいかない事が多い。かなりノウハウが大きい産業であることが体感できた。何となく、10年間野菜作りの基礎研究を実施してきた。


 本研究では、「高齢者の生活の生きがい・楽しみの支援を目的としたAIを活用したデータサイエンスに基づく仮想ネギ栽培に関する基礎的研究」を実施している。本研究では、人工知能とデジタルクロステック技術を用いて仮想空間上でネギ栽培を実施し、任意制約条件下でのネギ栽培方法を模索し、デジタル空間からアナログ空間への落し込みと、その結果に対するPDCAサイクルを行うことで、最適ネギ栽培方法を極短期間のうちに確立する。

 

 家庭菜園に関する全国調査の結果から、家庭菜園経験者は国民の約48%程度となっている。また、男女比関係なく幅広い層で家庭菜園を実施したことがあることが分かっている。多くの人が家庭菜園を楽しみとしており、今後も経験者率の増加が考えられ、細々であるが家庭菜園を楽にする様な産業が取り上げられることが考えられる。また、無農薬栽培による安全な野菜が採れたり、食のありがたさを感じる食育として、家庭菜園は人気があるが、コストが高いなどの問題もあった。その対策として、本研究では、Web検索数上位10位の企業HPおよび個人HP・ブログを検索し、ネギ栽培に特化したずぼら栽培方法を検索した。その結果、少量の家庭菜園と大量生産栽培との間に大きな技術的および感覚の隔たりがあることが分かったので、その結果を報告する。

 

1.種からの栽培

 実験における発芽率は市販の種袋に記載されていた通りであった。しかしながら、発芽後に発育観察や水やり温度管理が必要であり手間が予想以上に掛かる。何度かトライしたが、市販の苗の大きさまで成長させることができなかった。発芽後の生育も考えると市販の苗を購入した方が手間がかからず合理的であるし、苗育成技術が無い場合栽培を完結することが不可能である。

 

2.みずやり

 苗からの栽培では、ほとんど水やりはいらない。最初の植付で水を沢山与えておけば、その後はほおっておけばよい。

 

3.土作り

 ぼかしなどを与える方法が野菜栽培の教科書に載っているが、肥料を含んだ土と、肥料を含まない土の値段が殆ど変わらないこと。と、肥料調整の手間を考えると、肥料入りの土を購入して使った方が手間がかからない。野菜によっては燐を含む土が合う場合があり、その場合は鶏糞と土を混ぜ合わせ数週間置いておく必要があるが、市販の配合済みの土を利用すれば事足りることが分かった。 

 

4.労働の定量評価

 実験において、1年間で100本のネギを栽培すると、おおよそ1本300~400円の資材と労力投入が必要であることがわかった。年間3~4万円程度の健康代として考慮出来ないのであれば、野菜栽培はせず、市販の1本90円のネギを購入し、野菜栽培にかかる時間を他の労働に置き換えた方が効率が良いことが分かった。

 

 また、大量生産を行い、1本当たりの固定費用を削減したとしても、1本あたり90円には到達しない。しかしながら、現実に1本90円で販売されていることから、ネギ生産農家は、富山県の最低賃金を下回る労働費で生産を続けている可能性がある事が分かってきた。

 

 野菜を大量生産すれば、するほど、世間の考える平均的な生活から遠のくことが分かってきた。富山県の最低賃金によれば、年間210万円ほどの給与を得ることができるが、ネギ専業農業となると、その三分の一以下の給与になることが分かってきた。専業農業従事者には補助金などを割り当てる政策が必要である事が認識された。

 

 一例試算であるが、毎月100本、年1,200本であれば、真剣にネギを作っても良い。と、いう若年層の意見があった。富山県の平均給与水準に合わせると、1本1,700円程度のネギとなる。1本1,700円でネギが完売すれば、ネギ農家は継続する。と、いうと人は笑う。これは、笑い事ではなく、1本1700円程度のネギが現在の日本の給与水準にあった労働対価であると研究結果は示唆している。逆に言うと、現状の生産システムでは、1本当たり1,600円の労働の対価の未払い。という我慢をネギ生産農家に強いていると考えられる。現在の野菜価格は不当な価格設定とも考えられる。

 

  リタイア後の高齢者のネギ専業農業はリスクが高くお勧めできる仕事ではない。既に富山県は高齢社会となっているが、多くのリタイアした人達の、老後の仕事を確保するような政策を早期に立ち上げる必要がある。その一つとして農業は極力避けた方が良いことが社会基盤の維持の観点から重要であることが分かってきた。